フランスの高校

 食後の話題で学校の話になった。
本の学校は教室に鍵はかかっていないが、タイの学校は授業が終わると鍵をかける。職員室も会議室も全て鍵がかかっている。フランスの学校はもっと厳しくて、授業時間以外は自分の教室に入れないそうだ。「じゃあ、生徒たちはどこにいるの?」と訊くと「中庭にいて、上から教師が監視しているのよ、刑務所みたいにね」とのこと。もちろんゲートには鍵がかかっている。
 それに、生徒と教師の間には見えない壁があって、親しくなれないそうだ。
「ふ〜ん、わたしたちは好きな先生とはすごく仲良くしていたけどね」と遥か昔の学生時代を思い出した。中学生のときは先生の家に入り浸っていたしね。
 タイの生徒たちも教師とは親しくない、と言うより尊敬しているのかな。恐れてもいるし、教師は絶対的な権力を持っている。体罰は当たり前だしね。
 アナに言わせると、フランスの高校生は可愛くないそうだ。「中学生あたりまでは、英語に興味をもって真剣に聞いているけど、高校生ともなると文句ばっかりで勉強しないし、先生は尊敬されていないしね、たいへんよ」とのことだ。
「ふ〜ん、じゃあ、タイの生徒はどう?」と訊くと「幼いね、それに可愛い」と言った。「そうそう、わたしもそう思うのよ」と可愛さを自慢する。「ほら、ひよこのお母さんになった気分よ、ひとり連れて帰りたいくらい」と言うと笑った。
  特に男の子はタケノコのようにぐんぐん背が伸びて大人びていく。しかし、笑うと幼いままでとても可愛い。将来、どんな青年になるのかとても楽しみにしている。