だいじょうぶ

 日本に住む外国人に人気の言葉が「だいじょうぶ」だと言う。
ちょっと不安に思うとき、誰しも「だいじょうぶ」と背中を押してほしいと思う。語尾を上げて発音したら、「確認」の意味にもなるとても便利な言葉だ。
 ビルマを出発し、チベットサイドからヒマラヤを越えてネパールへ入る自転車旅に出ていたピーターが赤痢と足首の故障で、今ビルマのランゴーンに戻ったと言う。「だいじょうぶ?」とお見舞いメールを出した。暫くは英語教師をしながら休養すると言っていた。
 はじめて、海外への一人旅に出ようとしていた友人が、心配と緊張のあまり過度の神経症になって、急遽中止にしたそうな。彼女は友人との二人旅は慣れているので、「だいじょうぶよ、今度は一度行ったことのあるところへ出かけたらいいよ」とメールを出す。
 わたしも最初のモロッコ一人旅のとき、緊張のあまりお腹が痛み、止まらない下痢を点滴で抑えて旅立った。飛行機に乗ったらお腹の痛みはぴたりと止んだ。無茶な行動だったと思うが、言葉がわからなくても食べて寝て移動できることを知った。
 そして、職場の人間関係に悩む若い友人。これはだいじょうぶじゃない。毎日辛く当たられちゃ、かなわん。
人間関係の大変さは人によって感じ方が違うから、わたしだったらだいじょうぶでも、他のひとには我慢できないかもしれない。その逆もあるわね。痛みと同じだと思う。子育て中のわたしなら、生活が係っているから止めるわけにはいかないので「勝手に言ってな、アンポンタン!」くらいな調子でエネルギーの無駄を省いていたね。
 大事なことは、気持ちよい人とつき合って、気持ちよく暮らせること。銀河宇宙の地球という星に住む人間という生物でしかないんだから、自分の思うことを大切に。どんなふうに生きてもいいのよ、そう思う。