訃報

 春、エベレスト登山をアレンジしてくれたエージェント、「Sherpa summit」のオーナーのアンバブさんが亡くなったとの知らせを受けた。河野さんとアンバブさん宅の二階に住みながら、毎日アンンバブさんやシェルパたちと登山交渉をしたのを思い出す。
 河野さんは計算が得意でわたしは交渉が得意だった。二人で計算機片手に毎日交渉をづづけた。いったい、費用がどれくらいかかのか見当もつかず、金額も折り合わなくて、毎日すったもんだしていたから、朝食のパンに卵がついてなかったりすると
「なんか、今朝の朝食、けちってない?」とちょっと不安になり、あまり値下げし過ぎかなあと心配になったりした。日本人の経営するエージェントに相談に行き、なんとか登山準備を整えた経緯がある。
 アンバブさんからは、その後定期的に山のお誘いメールが届いていた。わたしは仕事と学生生活で忙しく、大学の一年次にセブンサミットを終えてからは白い山とは無縁の生活をしていた。
 ブログのいちゃもんコメント以来、河野さんと交友が再開した。まだまだトライしつづける彼女に心から声援を送りたい。
 ちなみに、エベレスト登山後、真っ黒に日焼けした顔で、カトマンズのタメルでお茶のお土産を買っていたら、男の店員さんに「何処へ行ってきたの?」と聞かれた。「エベレストだよ」と答えても「ああ、エベレスト街道ね」と信用されなかった。わたしたちは顔を見合わせて「登ったんだよね!」と笑った。なつかしい思い出だ。

 昨年秋、アンバブさんと登頂をサポートしてくれたシェルパに本を届ける予定が講演会のため伸び伸びになってしまい、この春、友人からの知らせに胸が痛んだ。友人によると仕事が順調でなかったらしい。あのとき赤ちゃんだった男の子は7歳になると思う。
ご冥福をお祈りする。