聴き取り「キャンディ・キャンディ」

 三年一組に歌の聴き取り授業をする。最初に先週行った中間テストの答合わせをして間違いを直す。真面目でよく出来るクラスなのに簡単なところで間違う生徒が多く満点はいなかった。期末試験は満点だよ!と励ます。
 キャンディ・キャンディの歌詞を日本語とタイ語で書いたプリントを読んで、言葉を覚える。単語を日本語とタイ語でコーラスしてから、ひらがなとローマ字で書かれた穴埋めプリントを配る。タイ語を裏にプリントしたので、かんたんだったらしく、みんな良く出来た。
 最後に今日初めての単語を文字のフラッシュカードで覚えたかどうか確認する。いつものように、AとBチームに別れて点数を競う。みんなエキサイトして大声をあげるので、だれが何を言っているのかわからない。短時間なのによく記憶していて、今日はBチームの勝ち。
 勝ち組にシールをあげようとして机の引き出しを開けたら、シールの束が消えていた。折り紙もない。あれ? 確かにあったのに。日本に帰る前に整理した引き出しの中がかき回されている。周りを見回しても何もなし。
 生徒だろうか? 引き出し中に入れていたわたしのホチキスがゴティ先生の机の上にある。ゴティ先生も生徒たちもだらしなく、貸したものは返ってこないので、わたしは文房具を持ち歩き貸さないことにしていた。折り紙も西洋紙で練習して最後に好きな色や柄を選んでもらい大事に使っていたのに、とむっとした。良い生徒ばかりではなく、ひと月まえには教師のパソコンが盗まれたばかりだし、昨年もフィリピンの同僚の財布が盗まれた。どこでもあることだが、周りでこんなことがあると嫌になる。とりあえず、生徒たちには鉛筆をあげた。