大雨

 まる二日間、大雨に閉じ込められ、学校の前の道は小川のようになった。
ビーチサンダルでさぶざぶと川をこいで学校へ行く。「なんか台風のようだね」インと顔を見合わせ、いつもと違った風景にわくわくする。学校の廊下も水浸しで、生徒たちはシューズ・オフなので、靴下をぬいで素足でぺたぺた歩いている。きゃあ、きゃあと水たまりを避けながら騒いでいる。みずたまりでもなんでも嬉しいお年頃。わたしにもこんな時代があったっけ?
 楽しみにしている2年2組の生徒たちと「家族」の授業をする。おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさん、おねえさん、おにいさん、いもうと、おとうと。なんにんかぞくですか、きょうだいはいますか、など、など。
 数詞の数え方に「インデアンポーイの歌」を歌った。「ひとり、ふたり、さんにんのインデアン、4人、5人、6人インデアン・・」と歌っているうちに、志の輔の「みどりの窓口」を思い出した。英語だと、ワン・ツー・スリーしかないのに日本語はものによって数え方が違う。なんて複雑なんだろう、と話していた。しかし、タイ語にも数詞はあるんだなこれが。お菓子一箱は、カノーン、ヌン-グロン、ワイン一本はワイン、ヌン-クーアと数える。ほかにどれくらいあるのかわからないけど。
 日本語を教えるのは大変だけど、タイ文字を学ぶのはもっと複雑で大変だよ。日本語を話せても書けない外国人が多いけど、タイ語もそうだろうね。わたしゃ、一生かかっても読めないだろうね。まあ、先も無いけどね。