雨季

 雨季に入って毎晩雨が降るようになった。
夕方、にわかに黒い雲が空を覆い、ざわざわと強い風が樹木を揺らす。遠くの空でくぐもった雷の音が響き、まもなく大粒の雨がボツボツと赤土に茶色のシミを散らして行く。
 空中をバリバリと雷が走り抜け、辺りは黒い幕を下ろしたように暗くなり、同時に底が抜けたような大雨になる。そして、まわりは白い雨だけになる。

 北国では雪に閉じ込められるけど、南の国では雨に閉じ込められる。傘なんてさせたもんじゃないから、みんな雨宿りをする。ドシャーと降って、ぴたりと止むから、待てば良いのだ。白い雨脚を見ながら、ぼーっとしている。約束に多少遅れたって、マイペンライ(気にしない)の国だからね。それでいいのかも。