サムライ・カルチャー

 昨年、真面目に取り組んでいた中学一年坊主たちは、二年生ともなると学校に慣れ授業をさぼる生徒やうるさい生徒が出てきた。何度注意しても止めないので、柄の長いほうきを逆さに構え「面!」と振り下ろして、瞬時に顔の前で止めた。生徒はびっくりして、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。マキ先生はいったいどうしたんだろう?って、顔に書いてある。
 わたしはおむろにほうきを下し、仁王立ちになって「これが、サムライ・カルチャー!」と笑った。「もんどうむよう!で、バッサリよ」と死ぬマネをした。
 タイの学校では体罰が当たり前で、まさに、問答無用で竹のムチが、手か、お尻にバシッと下ろされる。生徒もあっさりしたもので、赤くなった手をさすりながら苦笑いをしている。日本だったら教育委員会で問題になり、教師の首が飛びそうだ。
 先生は尊敬されているので、生徒は叱られるとシュンとする。しかし、その日だけで、翌日はもとのもくあみ。懲りずに同じこと繰り返す。
 さて、タイ人のゴティ先生が教えている今年の一年生。日本語がさっぱりわからない生徒たちは、ポロ机のベニヤ板をむしっている。わからんと退屈だよね、と生徒に同情する。ゴミだらけの床を掃除しながら、昨年の一年生は行儀がよかったと思う。きょとんとした顔で聞いていたけど、少なくともベニヤ板をむしる生徒はいなかった。よし、今年は<わかる授業をめざそう>と決心。話せる日本語をめざして奮闘する予定。さて、どうなることやら。