タイの総選挙

7月3日にタイで総選挙が行われる。
ここ東北部はイサーン地区と呼ばれ、タクシン派政権を指示する人々が多い。タクシン派が政権に就けば、また騒動が起こると噂されている。タイの選挙では血なまぐさい事件も起こるそうだ。選挙の時はアルコールの販売も禁止になるとか。昨年、暴動の最中に赴任したのでエキサイトした集団が恐ろしい。空港なんか占拠しないでほしいし、どうぞ、おてやわらかにお願いします。
以下、朝日新聞の社説:


タイ総選挙―民主主義前進の契機に 2011/6/9 朝日新聞 朝刊社説
 タイで7月3日、3年7カ月ぶりに総選挙が実施される。アピシット首相が先月、任期を約半年余して下院を解散した。
 海外逃亡中のタクシン元首相派の政党がタクシン氏の妹を首班に立て、アピシット首相の民主党と激しく争う構図だ。
 なにより、公正な選挙戦が展開され、すべての関係者が開票結果を尊重する意思が求められる。そうした民主主義の基本はこの5年間、ないがしろにされ続けてきた。
 貧困対策や経済政策が奏功し、議会で圧倒的な多数を握っていた当時のタクシン首相を2006年、軍がクーデターで追い出したことが発端だった。
 以後、元首相を支持する東北・北部の農民や都市貧困層が、軍・司法・枢密院といった官僚組織や王党派とされる既得権層と激しく対立し、社会の分裂は癒えることがない。
 07年末の総選挙でタクシン派が勝利して再び政権に就くと、反対派は空港を占拠して揺さぶりをかけ、裁判所が選挙違反を理由に政権与党を解散させた。続いて軍の連立工作で現在の民主党政権が誕生した。
 納得しないタクシン派は09年、デモで東アジアサミットを中止に追い込み、去年は総選挙を求めて首都の中心部を長期間占拠した。軍はこれを武力で排除し、90人以上が死亡した。
 タイはいま、隣国カンボジアと国境紛争を抱える。戦闘続きで双方で死者が相次いだ。
 東南アジア諸国連合ASEAN)が調停に乗り出し、監視団の派遣を提案したが、タイは軍の反対で受け入れていない。
 タイの内政がここにも影を落としている。対外的な緊張を利用して軍が政治介入の環境を整えているとか、タクシン派が選挙で勝てばまたクーデターだ、といううわさも飛び交った。
 王室に対する不敬を理由に、タクシン派幹部や学者らへの捜査、ラジオ局やウェブサイトの閉鎖が続いている。
 言論や集会への干渉が激増したのも、この5年のことだ。
 90年代前半から06年まで軍は政治に介入せず、経済発展とともに議会制民主主義が定着したとみられてきた。
 今回の選挙で時計の針を戻したい。街頭占拠や軍・司法の介入ではなく、投票で社会の対立を解消する機運を育む好機だ。
 15年に経済統合をめざすASEANにとっても中核国であるタイの民主化は欠かせない。
 経済だけでなく、文化面や人の交流でも日本とつながりは深い。民主化の進展に注目し、後押しする姿勢を示したい。