女と仕事 イタリアから

子育てと仕事を並行させるのは何処の国でもたいへんなことだ。子供を独り立ちさせるにはたくさんの時間を必要とする。
 イタリア人のカミラはべローナのヴィラで暮らしていたお嬢さまで、フェルナンドと結婚し二人の子供に恵まれた。二人はバレンシアの工科大学の教授をしている。大学で生徒を教え、レクチャーを持ち、外国でのワークショップ、本の出版などで忙しい上に、さらに新しいプロジェクトを立ち上げている。
 4歳と2歳の子供たちの世話は、朝9時から夜9時までの通いのベビーシッターがしている。朝8時。寝起きが悪く、ぐずる子供たちをフェルナンドがあやし、着替えをさせチョコラッテとシリアルの朝食を食べさせているところにカミラが起きて来る。カミラが幼稚園に行く用意をし、彼女が忙しいときはベビーシッターのアナが送って行く。アナは家事の殆どをこなし、子供たちの世話をしているので、お母さんのような存在だ。
 そんな忙しい二人なのに、夏休みは40日間、子供たちを連れてオートキャンプをし、時には二人でヨーロッパ以外の日本や中国へレクチャーに出かけている。彼らの友人曰く、フェルナンドとカミラはいつも旅行しているよ。彼らは建築家でビルを建てているんだ。いや、彼らは大学の先生だ。いやいや、彼らは本を書いているんだ。と様々な事を言っているそう。しかし、彼らは全部のことをこなしてしている。


 イタリアのベローナに住むマリナは建築の検査技師で自宅を仕事場にしている。朝、会社勤めニコラが二人の子供たちを保育園に送り、帰りは近くに住むマリナの母親が迎えに行ってくれると言う。それでも、子育てしながらの仕事はたいへんだと思う。ほとんどすべてのことがマリナの肩にかかってくる。仕事の他に、保育園、保健、家計、支払いのことなどのすべてをこなしている。時々ニコラに頼むが、彼はあまり協力的でないと嘆いている。
 二人はあまりにも性格違いすぎて、マリナが息をつけないような状態にある。静と動が背中合わせに暮らしていて、多くの問題を抱えている。彼は子煩悩で良き父親であると思うし、マリナもそれを認めている。しかし、彼女は仕事と子育てのほかに自分の勉強もし、自分のための楽しみ、友人との時間や旅行もしたいと言う。ニコラに、「君は独身で、まるで二十歳の娘のようだ」と言われるのだそうだ。仕事と子育てを並行させるのは、自分の楽しみのための時間が必要だ。バランスを取るための時間は、忙しい仕事をこなし、家庭を円滑に進めるために大切な事だとわたしは思っている。
 カミラは「忙しいけれど、わたしは今の仕事が好きなのだ」と言った。フェルナンドと同じ大学のオフィスで仕事をし、二人で子育てを楽しんでいる。カミラが言うには、マリナの第一の問題は建築家としての仕事が好きな分野ではないからだと言う。生活のための仕事で、三人に一人が建築家といわれるイタリアでは建築の仕事にありつくのは難しいという。その分ストレスも多い
 如何にストレスがなく仕事と家庭生活を並行させバランスを取るか。これは、100年前のリンドバーグ夫人「海からの贈りもの」の時代から変わらぬテーマだ。『女は、いつも家族のために愛を零して生きていて、それを満たすためには自分ひとりの時間を持つ事が必要だ』と述べている。

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