映画「ハープ&ドロシー」

おもしろそう、と当たりを付けていた映画を見に出かけた。
ニューヨークのマンハッタンが舞台のドキメンタリー映画だ。郵便局員のハーブと図書館司書のドロシーは1DKのアパートに猫と暮らしている。一人分の給料で生活し、他を現代アートの購入に充てる。選ぶ基準は二つ、自分たちの給料で買える値段であることと、1DKのアパートに収まるサイズであること。
いつも手を繋いで歩く小さなふたりは、存在そのものがメルヘンのように可愛らしい。そして絵を選択する着眼点は「きれい、気に入った、好きだから」。ハーブとドロシーは集めた絵を一枚も売ることはなかったし、これからもないだろう。
アーチストのゲーツは、「ハーブはコレクターではなくキューレター(学芸員)で、いつも最高のアーチストを見つけた」と述べ、そして彼にとって絵を売る事は、「アーチストが画布の一部を切り取ることと同じなのだ」と言う。

二人は集めた絵を美術館に寄贈した。絵にとって居心地のよい空間が必要だと理由で。展覧会でそれを見た佐々木監督が二人に魅かれて、デジカメを回したのが映画を作るきっかけになったそう。
映画のテーマは三つ、「Love, Art and Artist」で、ハープ&ドロシーの愛らしいカップル、アート界の巨人と彼らを巡るアーチストを4年間にかけて記録したという。それまで映画のこともアートのことも解らなかったというからすごい。初めての作品で多くの賞を得た道産子だ。佐々木監督曰く、今は、親子のように親しい関係で、日本に帰国するのにも詳しいスケージュルを知らせる間柄とか。頑固なお二人と素敵な関係を築いたのだ。ニューヨークには現代アートが身近な暮らしのなかで息づいている。そして、ハープとドロシーが言ったように、ニューヨークはエキサイティングな街で退屈することがない。
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