注文

日本に帰国するにあたって、いろんな注文が舞い込んだ。
生徒から「ステックキャンディを買ってきてほしい」と言われた。アホな生徒がなめている丸いキャンディだ。そんなものなめてるとよけいアホに見えるぞ、とも言えず「オーケー、OK !」と答える。他の生徒が「わたしはカトーン(マンガ)」と言われても「はい、はい」と笑って答える。飴をなめてマンガを読んでいればいい。
ところがゴティ先生ときたら大変な注文ばかり。
「きれいな折り紙をたくさん買って来て折り紙の授業をしてほしいの」
「はい、いいですよ。後期で折り紙と習字の授業をする予定です」
まだ、注文は続く。
「生け花を教えてほしいのよ」。生け花ねぇ、バケツに花をつっこむぐらいしかしたことがないぞ。ケンザンと花器がいるなぁ。
「お茶もね」との注文。そうねぇ、飲むだけならできるぞ。職場の昼休みにお茶会をしていたことがあった。お師匠さんがいたのでお茶会をしていたが,目的は食後のお茶とお菓子だった。家に山用の抹茶セットがあるかも。それでお茶を濁すことができるかな。
だんだん、注文がエスカレートしてきて、
「お祭りのハッピを沢山買ってきてほしいの、日本語の授業で生徒がおそろいのハッピを着たら楽しいでしょう?先生は浴衣を着て授業をするの、いいでしょう?」とのことだ。このくそ暑い国で浴衣なんか着て授業できるかい。ちょっと意地悪く「お金はどうするの?」と聞いてみた。
「それはチュンポーンせんせいが・・あとで」先でも後でも、そんなもの出してくれるもんかい。プリンター買ってもらうんだって半年もかかったのだ。
そして、着物もほしいとのことだ。甘えるのもいいかげんしろ、だれが買うんじゃい。
「それから、日本の経歴の本もほしいの、なぜなら、私は大学院で日本の勉強してるでしょ」ときた。経歴じゃなく歴史でしょう。考古学の本ならあるけど難しくて読めないでしょう。彼女はまだ助詞も過去形も使えないし、彼女の日本語を理解するのはたいへんだ。
なんでも私にやらせ、自分は写真だけ撮って熱心にPRのファイル作りに取り組んでいる。「なぜなら、校長に見せると給料が上がるから」ときた。「よろしくおねがいします」だってさ。都合のいいことばかりおねがいするな、こら。
日本の国は金持ちでいろいろ道路を作ってあげたり、橋を作ったりしてあげているらしいが、わたしゃ、金持ちでもなんでもない。
絵を描いたり、製本したり、えんぴつを配ったりしてるが生徒のためだ。一日中何やら走り回っているが、みんなみんな生徒のためだ。自分は注文だけしといて、なんのヘルプもない。授業を助けてくれるのは同僚のインであり、英語のタナー先生だ。
私にやらせて自分のPR用に使うって魂胆だ。まったく、いいかげんしろ。
7summit HP: http://web.me.com/dreamispower/index/Welcome.htm