暮らし

ラシーン県はタイでいちばん退屈な地形だといわれている。赤土の大地に延々とライスフィールドが広がり、いま田植えを終えたばかりの早苗の柔らかな緑が目にやさしい。多くの人たちが農業を営み家畜を飼っている。バスの中からその風景を眺めていた。八時間走っても景色は変わらなかった。
変わらぬ風景と変わらぬ顔ぶれ、ピ—ターに「毎日、同じ顔をみるのはつまらないだろう」と言われて「そうかなぁ」と思う。たいていの人は同じ国で、同じ顔を見て暮らしているのだ。確かに退屈な地形であるし、小さな町の人々も学校の教師、生徒も代わり映えのしない顔ぶれだ。
これが、暮らすということなのだと思う。毎日同じ日常の繰り返しに喜びや幸せを感じるのだ。恋人や家族との一喜一憂や、自然の営みに目を向け、小さな変化に喜びを感じられることが、そこに根を下ろすということなのだろう。 
そこに暮らす事と旅は違う。いつまでも旅を続けられるものではない。何処かで一度や二度は立ち止まるだろう。腰を下ろすとそこから日常が始まり、そして、いつか人は老い、死にゆく。
小さな、そして些細な一生なのだ。あれも、これもと欲張ってもそんなには抱えきれない。たくさんの友達も、たくさんのお金も必要としない暮らしがいい。たくさん抱えて嬉しがるのは花束だけにしょう。
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