メキシカンカラー

  2007年の春、メキシコのモンタレィの近くの街サルテーリォに3週間滞在したことがある。
旧市街のカテドラルの側にアートスクールがあったので見学させてもらった。


 学生が彫像や油彩やコラージュに取り組んでいた。どの作品も元気いっぱいのメキシカンカラーで原色の組み合わせが鮮やかで目がぱちくりする。
ラテン音楽のボリュームを下げ絵の説明をしてくれた。絵にはフリーダカーロに通じるものがある。作品と同じく人間も明るい。絶対めげない人種だろうなと思ってしまう。


 日本画が日本の湿度、気候を反映しているように、メキシコの画家の作品には、芳醇な大地と略奪されてもめげない強さが現れている。人間が作品を生み出すのではなく、気候、風土がその作者を通して作品を作り上げるのだと思った。
ここで絵を描いたなら、日本人の絵もこんなメキシカンカラーに染まっていくだろうか。こんな絵のように、明るく力強く生きられるだろうか。
           
 溶き油の匂いがたち込める天井の高い薄暗い教室で、こんな風に絵に没頭して過ごすのも悪くない。
表通りに面した観音開きの窓を開けると、青い空と弾けるような強い日差しが飛び込んできて目が眩んだ。




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