旅人

旅する人の共通点はなんだろう。
自分探ししというのはなんか野暮ったいし、それに人生の探し物は旅をしたぐらいじゃ見つからない。自分が過ごしている日常から飛び出し、ちょっとだけ非日常の世界に身を置くことで違った角度からの自分を見ることが出来るぐらいだろう。いろんな人生を生きている人がいて、「何をして生きてもいてもいいかな」と思える。そして、なぜかふと自分にやさしくなれる。
旅をして出合うのは相手を思いやるやさしさだ。知らない国で自分の名前を呼ばれると、<ああわたしはここに在る>と思う。
 ふぅと力を抜いて、呼吸を緩めて自分を取り巻く自然を、また世界を眺めるのは悪くない。あれこれ詰め込む盛りだくさんの旅をするのもいいけれど、日常をちょっと逸れる散歩でも新鮮なことに出合える。楽譜のように長さの違う音符を組み合わせて、美しい人生の旋律をつくるためには休符が必要だ。時には全休符もね。