師走


 しばれて寒い日が続いている。道路はツルツルで歩幅を小さくしてそろそろ歩き。もう12月、二学期は毎日居残りで絵を描いていているうちに今年が終わろうとしている。
 
 日本画の授業で落款印を作ることになり、苦手な消しゴムハンコ第二弾目を彫ることになった。おしゃべり男子に「苦手だから、私の分も頼むわ」と言いながら漢字の下絵を書く。漢字も独特のスタイルで格式ありそうな文字。


 案の定、凸版は縁が欠けてしまい失敗。こんどは裏に凹半で漢字を彫るも「真」の字の中が口になってしまった。先生に新しい消しゴムをもらって再トライ。ーーー疲れる。


 クサっていたら、おしゃべり男子が「特別に、秘法を伝授しましょう」と言って、デザインカッターの先にマジックで2ミリほどの印をつけ、「これ以上、差し込んだらダメです」とやって見せてくれた。文字も漢字から、ひらがな1文字に変更し、「ま」だけにした。すると、なんと数秒でちゃんと彫れたのだ。「おお、ワンダフル!」彼のおかげで落款印を作ることができた。


 雪も降り出して、今夜は積もりそうなので久々に早く帰ることにした。
「今年も終わるなぁ、来年は3年生で...」とおしゃべり男子がしみじみ言うのでおかしい。「何、年寄りみたいなこと言ってんの」と笑うと、今度は「あ、大福食べたい!」とスタスタ餅屋に入っていく。


「帰ったらご飯じゃん?」と相棒に言うと「この間も餅買ってたわ」とのことで親近感を覚える。我が家はみんな餡もの好き。
 大福は売り切れだそうで、みたらし団子を買ってきた。歩きながら団子をほうばり、ほのぼのしたひとときでした。