溶ける


 課題:溶ける/固形物が溶ける、または溶けた状態を絵にする。

 身近にある溶けるものって、雪やアイスクリーム? 熱によって溶解するもの? と考えたとき、二年まえに広島の原爆記念館で見た階段のシミが思い浮かんだ。一瞬の閃光で人間が溶け、玄関のまえに座っていた人が黒く残った階段。

 縄文時代の発掘調査で墓に残されているのは土器や石器で、人間は溶けて土に還る。このとき、聖書の言葉が思い浮かんだ。<塵から生まれ塵に還る>ーーーああ、本当なんだ...と妙に納得した。


 おお、いいひらめきじゃん!とサクサクと描いてボードに貼った。みんなは雪が溶ける/アイスクリームが溶ける/ろうそくが溶ける/釉薬が溶ける/火山の噴火/などなど。
 雪が溶けるが一番多くて、氷柱を描いたものが4枚あった。溶けるものを描くのではなくて、溶けている状態をアップに切り取るといいとのこと。また、当たり前のものを描くときは、視点を変えて家の中から氷柱のしずくを描いたりすると新鮮だとのことだった。


 わたしへの批評はこう。
発想はいいけど、これだけじゃ、このシミはなんだろうと思う。影にも見えるし、とのことで、原爆の図や墓の発掘は具体的なものを入れたほうがいい、とのことでした。ーーーということでわかるようなものを描き入れました。



By Kazuo Niahimura チョコレートが陽に溶けている