イメージ表現「退屈」

 課題:「退屈」をイメージで表現しなさい。

退屈とはどんな状況か? なにを見たら退屈と思うか? 退屈を絵で表すとしたら? 退屈の定義は何かと聞かれて、することがない/暇/あきあきして嫌になる/つまらない、と皆それぞれ答えたが、それを絵にするとなるとさっぱりイメージが湧かない。まるで禅問答のよう。


 下手な絵は退屈だから、下手な絵のこと? 動きのないのも退屈だよね? 色で表すとしたらどんな色?と考え、思いついたのがここ2日間雪に閉じ込められ、何をする気にもなれなかったこと。雪かきが気になり窓の外ばかり眺めていたので、向かいの集合住宅を描くことにした。
 何の変哲もない長方型の建物が雪に閉じ込められ、周りはどこもかしこも真っ白け。ーーーこれは動きもないし、色彩的にも退屈な絵になるかも?


 そして、1時間半後にみんなの絵を貼ると、さまざまな退屈があって面白い。鼻くそをほじっている/なぜか裸で寝そべってる/頬杖をついてる/ぼんやりしている後ろ姿、とさまざま。


 わたしへの批評はこう。
退屈な色とは明度/彩度が低い色なので、グレイにしたのはいいけど、「この角の水色はなんですか?」と聞かれ、「それは貯水タンクのドアで、その色がたまらなく好きなので入れました!」と答えたら、ドアを手で隠して、「ないほうがいい。退屈をきちんと認識したら目的を忘れないこと。余分なものは入れないように。」とおっしゃる。
 ーーーあ、そう....。うちのドアと取り替えたいくらいに好きなんだけどなぁ、とつぶやいたらみんなに受けた。


 ターコイズブルーが好きな時期があった。地下鉄、東豊線の手すりが濃いターコイズブルーで、通る度に「切り取りたい!」と思うくらい好きだった。つい、小物がそんな色になり、セーターもその色だった。
 たぶん、小学生のころから好きだったのだ。その頃に着ていたオーバーコートがグレーがかった明るいターコイスブルーで、冬の晴れた空の色に似ていた。そのコートを着ているとみんなが「いい色ね」と声をかけてくれて子供心に嬉しかった。


 人生も終盤に近く、いろんなのターコイズブルーを求めたのに、いまだにコートの色に出会っていない。あのコートの切れ端があったらいいのにな、と思うわ。



BY Kazuo Nishimura ↓
同形の重りを置いた秤。左右対称で動きがなく変えようがない。彩度/明度が低い茶系。