畳一畳半のゲストルーム


 娘とボーイフレンドは賃貸アパートの一階部分の倉庫を改造して住み始めた。
私が上京するので、50平米のスペースの中に畳一畳半のゲストルームを作ったという。ベッドとその手前に半畳の着替えスペースがあるだけだが、ちゃんとドアも付いていて窓もある。テレビとオイルヒーターが備え付けられていた。ーーー可愛くて、快適な空間だ。


 キッチンのガスはキャンプ用でお風呂はウイスキーの樽を改造したものとか。キャンプしているみたいでなかなか楽しい。それにしてもシティガールの娘が、よくぞまあ、たくましく変身したものだと感心している。


 タイの大学の寮は窓のないワンルームで、汚くて、ここに住むのかと思ったら泣きたくなった。住めるようにするまでに半年くらいかかったが、綺麗になった部屋でお隣さんとご飯を食べ、同僚や生徒たちも遊びにきてくれて、いつもいそいそと料理を作っていた。
 調理器具は炊飯器とホットプレートだけなのによく作っていたと思う。衣類なんぞ、スーツ一着と数枚の着替えだけで、暑い国は金もかからず暮らしやすい。


 どんなところに住むことになっても、小綺麗にし、気のおけない友人と会食するのは楽しみである。
一緒に過ごした豊かな時間が懐かしく、また愛おしいと思う。