モデルさん


 札美のモデルさんは若く可愛い人が多い。
最近、デッサンしたモデルさんは小柄で小麦色の肌をした健康そのもののお嬢さん。インドネシア人のような雰囲気で、おでこが広く、顎の線がふっくらと柔らかい。


 腰からの上半身を描くことにして、人体のバランスを割付してたら、園長先生に「それじゃ、随分背の高い人に見える」と言われた。えっ、モデルは座っているのに背の高さってわかるの? とバランスをチェックしたら頭に対して体が大きかった。「いつも、頭が欠けるから、気をつけて」とも。ーーーあっ、そう。すごいね先生って....。


 自分なりにモデルさんの雰囲気を出して描いているつもりなのに、「立体になってない」と言われ、陰影を濃くしたら、「そうじゃなくて、こう....」とわたしの椅子に座って彫像のように角を付けた。
 「ほら、彼女はおでこで、若いから頬から顎が赤ちゃんのようにふっくらしてかわいいでしょう?」と先生に文句をつけたら、モデルさんが笑ってしまった。ーーーあらららら。ごめん、笑わせちゃった。


 女の人や赤ちゃんはつるっとしているので立体感を出しずらいのだそう。
モデルさんは一週間、同じポーズをしてくれるので、じっくり描くことができる。デッサンだけではなく、それぞれ、水彩/ガッシュパステル/油彩などで着色して仕上げる。


 帰り道、モデルさんと一緒になって「学生さん?」と聞いたら、看護学生で保健師を目指しているとのこと。「どうして?」と重ねて聞くと、311の東北大震災でたくさんの人が亡くなり、生きることの意味を考えさせられたという。「中学生でそんなことを考えるなんて、すごくない?!」と驚くと、そのとき命に関わる仕事に就きたいと思ったという。


 なんと前向きで、しっかりしたお嬢さんでしょう。きっと、世界に羽ばたく人になるんでしょうね。
 ーーー来年は素晴らしい年になりますようにと、心からエールを送ります。