My Gallery


 大谷大学の特待生入学のための作品を作っているヨーコちゃん。部屋の一画の壁にマイ・ギャラリーを作っている。
園長先生に作品は貼ったほうがイメージが湧くとアドバイスされたという。それで、好きなものを集めて並べ、100号のキャンバスにコラージュを作成中。黙々と紙を切ったり、貼ったり、布を集めたり、ドライフラワーを飾ったりして、自分の世界を作っている。
 ーーー「あら〜、素敵ね! いい先生じゃん」とガッテンする。
 

 アートって、特別なものじゃないのよね。彼女みたいに、おもちゃ箱をひっくり返したような作品があってもいいし、日常の些細なことを表現してもいい。暮らしを楽しくしたり、もう一つの世界を形に表すことであればいいのよ。


 その昔、義母が夫を看取って一人暮らしになったとき、寝室の襖いっぱいに紙をちぎり貼っていた。手で千切ったなんだかわからない絵は義母のオリジナルの世界で、ぽっかり空いた心の空白を満たすものだったのではないか、と思う。11人の子供を育て、家族の世話だけをしてきた人生の拠り所のなさを、襖のちぎり絵に満たされて眠りについたのだろうか。


 そういえば、「智恵子抄」で有名な高村智恵子の紙絵を見たことがある。
心を病んでいたとは思えないくらい素敵な絵で、こちら側にスゥーと入ってきた。並ならぬ才能の持ち主だったのだと思いましたね。