特待生?


 美術大学の募集要項を確認していたら、特待生の欄が目に止まった。
芸術に関する経歴と推薦状が必要だ。山に情熱を傾ける前は10年ほど染め織りをしていたので、なんとかなるかも?と思ったが、織りの作品は山のために売り払ってしまい、染め織りの先生は十数年前に亡くなっている。
 息子や娘にあげたものが残っているかも?と思い電話したら、息子は持っていたが娘は捨ててしまったという。聞くまでもない。幼稚園の手提げをいまだに持っている息子と彼氏とごわさんになると貴金属さえ捨てる娘。息子のと、家で使っているものを写真に収め提出することにした。


 編入試験はシラバスのコピーも必要とのことで、卒業した大学に借りに行った。1センチ以上の冊子が8冊あり、ゆうに10キロはある。何を選択したかも覚えていないので選択科目の一覧も出してもらったら、124単位で卒業できるのに、なんと168単位も取っている。一覧表とにらめっこしながらコピーをとるのに一日がかり。

 「特待生で受験する」と息子に話したら「そういうのはね、若くて優秀な将来のある人のための制度だよ」と呆れられた。「そうは思うけど、背に腹は代えられぬ」と図々しくも札美の園長先生に推薦状を書いてもらい、書類を揃え郵送した。


 次は受験のための作品集作り。朝から、鉢巻をしてカメラを首にぶら下げ、手直ししたデッサンを並べ、油彩を額に入れたり、出したりしてバシャバシャとカメラマンのようにシャッターを切った。部屋の明るさが問題でブラインドを閉めて光を調整、油彩の額はガラスが反射するのでガラスを外して撮った。これまた一日がかりの大仕事。


 これをパソコンに取り込みパワーポイントでキャプションと画材や作品のサイズを入れた作品集を作らなければならない。なんとまあ、面倒くさいと思っていたところに、受験する大学から電話が入り、卒業証明書と成績証明書がないという。
 2010年にタイに赴任するときに発行してもらった英文の証明書を送ったのだ。オープンキャンパスの入試相談で担当者にそれでいいと言われたのに、どういうこと?


 ーーーやれやれ、いったいどうなるんだろう....。