雪が重なります!


 札美でお隣のシンガポールからきたジョイさん、「寒いですね〜! 札幌は雪が重なります」と言った。「ん? なんのこと?」一瞬、返事に詰まったがすぐにわかった。「ははははは。それはね、『雪が積もります』というのよ」


 言葉って、おもしろい。確かに「積もる」とは雪が重なることだよね。
プレハブのアトリエは夏は暑いし、冬は寒い。もう、すでにガンガン、ストーブを焚いていて、若者はTシャツ一枚でデッサンしている。かといって、ストーブを消すとヒューンと室温が下がって背中が寒くなる。


 ジョイさんは上向きの石膏の顔を描いているが「髪の毛が気に入らない...」と言う。石膏像はわたしも得意じゃないので、近くにあった生徒の作品を見てたら「それは参考にしないほうがいい」と好美先生が言う。そっか、下手なんだと思い「ジョイさん、髪の毛が気に入らないって言ってるから」と伝えたら、ジョイさんの椅子に座って同じ目線でデッサンをチェックしている。ーーーいい先生だ。


 札美はいろんな社会人がいておもしろい。若い人たちが仕事帰りに黙々と絵を描いていて、なんて真面目なんだろうと思う。指導を受けると傍目にも上達していくのがわかる。「だから、どうなの?」と思うだろうが絵が好きな人にとっては嬉しいことなのよね。年齢は違っても通じるものがあるっていいじゃん? ーーー似たもの同士、時間を共有できることにほっとする。