褒められた!


 デッサンの勉強を始めて3ヶ月目。始めて褒められた。ーーーいくつになっても褒められるのは嬉しいね。
 美大受験の高校生に混じって同じ課題をこなしているが、なかなか上手くいかない。いつも学生のデッサンや色の使い方を見ながら、「やっぱ、若者たちはうまいなぁ....」と感心している。そればかりか、彼らのデッサンを見て「ああ、こんな風にすればいいのか」と参考にしている。
 夜の授業は4時から9時までで、その間アトリエはシーンとして、画用紙に擦れる鉛筆の音だけ。遊びたい年頃の子供たちなのに、こんなにも真面目?と思ってしまう。


 と、いう社会人のわたしはアトリエに入るまえに、「よし、気合を入れよう〜!」と声に出して心を決める。これから集中するぞ、と自分に言い聞かせるのだ。
 毎回、新しいモチーフを前にすると、「こんな、めんどくさいもの描けるだろうか?」と不安に思うのだ。作図の仕事ならお金が入るので、いくら土器の施文方法が面倒くさかろうが、電卓たたいて「よし、頑張るぞ!」と気合が入るんだけど、一銭にもならないデッサンに時間を費やしていて、この先どうなるんだろう?と不安になる。


 それに、デッサンは紙と鉛筆だけあれば済むけど油彩はキャンバスが要る。描いても拭いてばかりいるので絵の具を消費するばかり。今日も背景の色が決められずに緑から白、ベージュから青と何度塗り替えたことか....。モチーフのバラも赤、黄色、ピンクだったものを全部白にして、それから黄色に変えて、やっぱり変だ?と元の白に戻してと、終わりがない。


 しかし、今日は褒められたのでいい気分。
来週から、色相の変換の勉強をするとのことで、水彩絵の具を使うことになった。
 ーーーやれやれ、少しは進歩したかな?