銀世界?


 朝。ん.....車の音がしない? とカーテンを開けたら、のそのそと幅広の雪が降っていて、あたり一面の銀世界。えっ、また冬なの? とうんざりする。
 昨夜帰宅したら「雪当番」の札が下がっていて、もう間違っても降らんだろうと安心して寝ていたら、これだもんね。ーーー行きつ戻りつ、まだまだ春は遠い。



 美術学校ではそれぞれの大学に入学が決まった生徒さんたちが集まって、お祝いの鍋を囲んでいた。ーーーローカルな感じがいいね。
 通っている生徒たちは真面目で黙々とデッサンをしたり、デザイン画を描いたりしていて、今時こんな生徒たちがいるんだ?驚いたわ。美大に行く生徒ってお金持ちの生意気な生徒なんかな?と思っていたからね。
 それが、自分のデッサンを離して確認する以外は椅子に座りっぱなしか、立ちっぱなし、聞こえるのは鉛筆を削る音だけでシーンとしている。



 そんな中で、まったく似てない石膏デッサンを消したり、足したり、悪戦苦闘していると、「これはもう切り上げて、明日からブルータスにしましょう」とおっしゃる。「ん、ブルータス?『ブルータスはお前もか、のブルータス?』その男はハンサム?」
 そうそう、わたしは面食いなのだ。いい男なら頑張って描けるけど、蛇と格闘している「ラオコーン」のような像だったら、夢でうなされそうだ。


 ブルータスが若いときの像で、もちろん理知的でハンサムだという。
ーーーきっと、また大変なんだろうなあ.......。まあ、いい男なら頑張るかな。