歩き人ふみの徒歩世界旅行ー児玉文暁


 ニュージーランドとオーストラリアを歩いて縦断したふみさん。
オーストラリア大陸の砂漠をリヤカーを引いてテクテク歩くなんて気が遠くなりそう、と思いながら読み始めた。トレイルならともかく車道を歩くって忍耐力が要るでしょう? 本人も歩きながら、なんで歩いているんだろう?と自問自答する。


 頑丈な体を持っているわけでもなく、人見知りで英語のコンプレックスもあり、30代から旅を続けているのにさっぱり話せない。手に職があるわけでもなく、恋人もなく、住む家もない。
 歩いているとよく「勇気あるわね」と言われるそうで、いままで一番勇気が要ったのはアンデスを越えるときでも、砂漠を歩くことでもなく、安定した生活を捨てるときだったそう。「世界を歩いて旅するなんて、そんな馬鹿げたことは止めたほうがいい」と言われた。しかし、ふみさんは「やってみたいから」と旅に出た。


 「やってみたいこと」は原動力になる。最初、そのモチベーションは頭の隅の小さな憧れにすぎなくても、それがいつも引っかかるようになる。やるべきか否か?と。もし、やらなかった場合、その思いは小さな塊となって一生心に残るだろう。「夢の化石」を持って墓に入るのはどうよ?.....。好きなことを始めるのは勇気がいる。路頭に迷う羽目になっても、やらないよりはマシ。ナラくんの究極の名言「好きなことやらないで何やるの?」のように。


 もうすぐ、新しい年が始まる。来年は、好きなことにトライしてみようぜ!