ギャラリー in シーサケット


 チョンプーさんの趣味が龍のオブジェを作ることだそうで、絵も習いたいんだけど高い、という。
「えっ、シーサケットにアートスクールがあるの?」と聞くと、ギャラリーで教えているとのことで早速見学に行った。


 町中にあるギャラリーは、オーナーが自分で描いた絵を販売している。絵は学生時代から初め、独学だそう。水彩と点描画でタイ東北部、イサーンの農村の風景を描いている。他は王様の絵が多い。タイは王国だから王様の絵が売れるんだと思う。


 古い壺や陶器も展示していて、日本の焼き物もあった。
ラジャバット大学にも美術学科と陶芸学科があり、見せてもらったが写真をコピーしたものでオリジナルは少ない。
 帰国間際になって、タイ語を教えてくれた先生からオリジナルの絵を頂いた。4号の抽象画で猫を描いたというんだけど、どう回してみても、猫がいない。

 日本人の同僚に「荷物になって、困るよね」と言われて「ほんとに....」と思ったけど、これはなにかの啓示かな?とスーツケースのなかに収めた。


 社会人学生だった4年目の夏、アラスカのヘインズで2ヶ月を過ごしたことがある。
あのとき、画家のダナの家によく遊びに行っていて、絵本を見せてもらった。その中にタイの農村の絵本があって、そのまったりとした暮らしに惹かれた。
 「Hush」という題名でお母さんが、「シーッ、いま赤ちゃんがねたとこなの。しずかにね....」と、いろんな動物に語りかける。気に入って、全ページの写真を撮った。


 大学を卒業して、日本語教師になるため何カ国かの学校や大学を受け、決まったのがタイの東北部の高校だった。あの絵本の農村のような、小さな町だ。幹線道路から10キロ離れていて公共の交通機関はなく、トクトク(バイク三輪車)だけだった。
 ーーー不思議な巡り合わせを感じている。