着物の着付け


 中国人の周さんが着物を着てみたいという。
丁度、浴衣があるので「これ、着てみる?」と訊くと、大喜びだ。家族みんなで、きれいだと大騒ぎしている。お母さんまで「わたしも着てみたい!」と同じ浴衣を着て写真に収まった。


 そして、博士課程の打ち上げパーティで巻き寿司を作りたいから、と巻きすを借りに来た。
博士課程生は中国人、ラオス人、もちろんタイ人もいるのでアジア圏国際交流の場に巻き寿司が登場、ということになるわね。



 周さんご夫婦は共に博士課程生で、昨年、赤ちゃんが生まれて一時帰国していた。今学期から復学し、赤ちゃんの世話をするために旦那さんのご両親とともに戻った。後、1年間家族でタイに滞在する。

 この間、周さんと「幸せって?」という話をしていた時、「それは、あなたの家族のことじゃない?」「これ以上の幸せはないんじゃない?」という言葉がさらりと出た。ーーー日本の両親は子守のために海外になんか来てくれないもの。

 旦那さんは一人っ子で大事に育てられたので、優しく思いやりがある。育メンでもあり、出かけるときはいつもカンガルーのように赤ちゃんを前に抱っこしている。そして、当然にように荷物も持ち、その後から周さんが日傘をさしてお嬢さんのようについていく。ーーーとっても微笑ましい。


 中国人もフィリピン人も家族の繋がりが強い。
日本人もかつてはそうだった。アメリカナイズされた個人主義が家族やまた地域との繋がりが薄れる原因になったのだろうか、と思う。