素晴らしき人生


 久しぶりに山仲間のお宅を訪問した。
彼は定年退職後に山登りを始めて、沢登りから山スキーまでこなし、さらに75歳から機織りを始めた。その間に二度、脳溢血で倒れサイボーグのように蘇り、機織りはリハビリにいいと織りの原書をひもとき、手紡ぎから、染め、組織織りまで、ほぼ独学で作品を作っている。


 今は、奥様の体調が良くないからと、買い物とおさんどんもしていて、美味しい手料理でもてなしてくれた。
サラダもスープも美味しくて、「えっ、この甘みは何?これどうやって作ったの?」と驚いた。
 インターネットからレシピを検索して、その通りに作っただけ、と言うが、料理の基本を知らないと上手くいかないだろう。


 料理によっては下ごしらえに二時間はかかるので、以前のように機織りに専念する時間がないとのことだが、職人のように朝から夕刻まで機に向かう姿はまさに私が憧れていた生活で、またまた、なんでタイで日本語教師をしてんだろう?と思う。


 現在、80歳の彼は、60歳のころの柔軟な心を持ち続け、新しいことにトライする精神と追求心を失っていない。
なんとも羨ましく思う。ーーー素晴らしき人生に乾杯! わたしゃ、完敗です!