小豆菜採り


 山友が小豆菜を採りに行こうと誘ってくれた。
旅疲れでしばらくボーッとしていた。夜行バスの移動とコリアンエアのソウル乗り換えの時間がギリギリなうえに、5、6箇所ある荷物の再検査に長蛇の列が! ーーーわ〜、間に合わんじゃん。


 係り員に飛行機が遅れたと言っても通してくれず、「10分ほどでゲートに行けます」とニコリともしない。韓国人ってきついし、喧嘩しても始まらないので「そうは思えないわ、お願い、お願いよ!」と無理矢理、先に検査をしてもらった。案の定、ゲートは遠くて走り詰めで、ギリチョンでセーフ。ーーーやれやれ、無事に千歳空港に到着した。


 ところが、千歳空港の税関の係員に荷物を開けるよう指示された。ーーー25年以上税関を通って、開けられたのは初めてなので驚いた。

「タイでなにしているんですか?」
日本語教師です」ーーーそこに書いてあるじゃん!
「何年しているんですか?」
「5年になります」ーーー何年だって関係ないだろうが.....?
「これはなんですか?」
「プリンターとパソコンです」ーーー見りゃ、わかるじゃん!
「いいですよ、どうぞ」

 ーーーそれだけかい?高飛車な若者だ。いつも係員は笑顔で「おかえりなさい」と労ってくれるのに疲れが倍増した。
「おかえりなさい」のその一言が、ああ日本に帰った、嬉しい〜!という気にさせてくれるのだよ。



 くさっていたので、誘いが嬉しかった。
新鮮で優しい空気、土の匂い、春うらら、上機嫌で小豆菜を教えてもらう。
 実は小豆菜を採るのは初めてなんだよね。まるで小豆菜の畑のように美味しそうな葉っぱが出ていて、もくもくと摘む。感謝して大地の恵みをありがたく頂いた。