映画「東京物語」


 原節子さんが95歳で亡くなったことを知った。
失礼ながら、ーーえっ、健在だったのね、と驚いた。小律安二郎監督が亡くなってから一切の公の場から姿を消したのだそう。


 午後、荷造りをしながらサイトで「東京物語」を見た。
1953年の作品で日本が第一次高度成長期に入ろうとしていたころ。それを象徴するかのように高い煙突から真っ黒な煙が吐き出されるシーンが入っている。尾道に住む老父婦が東京の子供達を訪ねる話で、何度見ても新鮮な感銘とやさしさを覚える。
 目線が足元のローアングルはいつも同じ動線だから疲れないし、ロングショットは芝居を見ているような気になる。
 

 小律監督は家族をテーマにし、同じ俳優と組んだ。イランの監督のアッバス・キアロスタミは小律安二郎のフアンだそうで、ロングショットの撮影がよく似ている。それに、フィンランドの監督、アキ・カリウスマキも小律の強い影響を受けた人で、同じ俳優を主演させている。


 小律は黒澤明とともにヨーロッパでよく知られた監督であり、映画界に影響を与えたんですね。
 ーーーイタリアの友人も二人の名前は知っていました。


  『親孝行 したいときには親はなし さればとて 墓に布団は着せられず』