ベッドタイム・ストーリー

 
 お隣りさんの姉妹が、家族のことをよく話してくれる。
毎晩、寝る時に父親がお話をしてくれたと言った。4人姉妹は父親の話を楽しみにしていたそうだ。
 ーーーなんだか情景が目に浮かぶようだ。


 朝は、ギターで起こされて「Catch the sun in the morning~♪」と歌うんだそうな。ミュークは今もチャールズを「Catch the sun in the morning~♪」と起こすんだとか。
 ーーー微笑ましいね。


 両親はとても仲が良くて、いつも一緒にいたそう。厳しくしつけられたと言っているが、とても温かい家庭だと思う。



 4人姉妹の長女はドイツで検査技師をしていて、次女はサウジアラビア助産師を、三女と四女はタイで英語教師。末っ子のミュークはわたしとおなじ大学で働いている。結婚してるのはミュークだけで、5歳と3歳の男の子がいる。
 父親は亡くなり、母親は4姉妹の仕送りで暮らしているとか。末っ子のミュークの子供をフィリピンで母親が育てている。経済的に大変なので、その度に姉妹が援助しているそうで「あんたの子供になんでわたしがお金を送んなきゃなんないの!」と怒っているそうだが、実際は仲が良くて羨ましく思う。
 


 夕方、運動公園でランニングのあと爽やかな風に吹かれながら、子供時代の話を聞いていた。
むかし、むかしのわたしの育った時代は、ものが充分になく貧乏だったと思うが、朝夕、家族が揃って食卓を囲む習慣が守られていた。父親の権威は絶対的だったし、フィリピンの家族のようだったと懐かしく思い出した。