環境整備第五弾

 片手に箒をもち、右手にマーカーを持って、環境整備をしながら日本語を教えている。
日本語教室の床が汚くて足の裏が真っ黒になる。先週は学校の廊下のようにドタバタと雑巾がけまでした。

 3年生は5名のうち1名が留学中なので4名しかいない。本当はまだ人数がいたのだけど、1年生に落第した生徒が1名、途中で家庭の事情で退学する生徒も多いんだとか。
  ーーー3年生から1年生に飛び級落第なんて、日本では聞いたことがないね。

 タイの生徒は集中力がないので、3時間半の授業の合間に15分の休憩を挟む。というわけで、生徒達がリラックスしている間にわたしはシンクの掃除や床拭きを始める。
  ーーーあははははは、日本語教師は足腰丈夫でなければならぬ。




 日本語学科のショーケースにもアリが巣作りしていて、写真も色あせみすぼらしいのでリニューアルすることにした。
ガラスを磨いて、ケースの中の壁紙を新しく貼り替えた。両端はインフォメーションボードで真ん中が日本文化の紹介するコーナーだ。何にしようかと思案中。

 そこで、北斎の赤富士の次は歌麿の浮世絵に挑戦。ニ晩かかってコピーしたら、なかなかのできばえで、学部長の先生から「わたしにも描いて」とお願いされてしまった。
  ーーー高いわよ〜!




 日本語のオフィスの前が通路で外からまる見えだ。ドアの前にあるわたしの席は落ち着かないので、出来上がった浮世絵をドアのガラスに貼った。紙一枚で雰囲気ががらりと変わり、まあ、落ち着いて仕事が出来るし一石二鳥だわね。