in カウオン

 学校のある田舎町、カウオンに入るとほっとする。
辺り一面、緑したたる田んぼが続く一本道は心なしかジャスミンの香りがする。やせた土地は米を甘くするそうだ。
 学校のゲートの前でバスを降ろしてもらい、ガラガラとカートを引きアパートまで行った。もちろん学校が始まっていないので誰もいない。不気味なくらいシーンとしている。
 買い出しに市場に行ったら、いつものおばさんがいた。おばさんはおばあちゃんに「先生がきたよ!」と言い、おばあちゃんは良く来たね、というふうにわたしの手をとって、手にパパイアを乗せてくれた。
 いつも、いつも貰い物ばっかりで恐縮しながら「こっぷん、まあかあ(ありがとう)」とお礼を述べてありがたく頂いた。頭のなかで、おみやげ買ってくるんだったなぁ、と思う。


 昨日、また買い出しに行ったら、自転車のチェーンが外れた。道端で手をまっくろにして奮闘していたら、見知らぬ人が手伝ってくれた。「チェーンがたるんでいるから、なおしてもらいなさい」とタイ語で言っているらしい。買い出しの帰りに自転車屋さんに寄り直してもらった。「たおらいかあ?(いくらですか)」と聞くと、「OK、かっぷ」と受け取らない。

 地元のひとたちはみんな親切なので、買い物に行くのが楽しくなる。コンビニで生徒たちにも出会って「せんせ〜!」と声をかけられた。「みんな元気?」と生徒たちのビックなスマイルが嬉しい。
 来週から授業が始まる。