自然と遺跡

 「自然の壮大さに比べたら、人間が作った建造物はその比じゃないよ」と日本語教師のお師匠さんが言った。
このひと山も登らないのに、なんでそんなことが解るのだろう、と不思議に思った。若い時から、ずいぶんと旅をしてきたらしく、世界のいたるところに足跡を残している。それでそんな風に感じたのだろうか。
 いろんな国に行き、その国の風土や文化に触れ、その空気を体で感じたいと思っていた。ところが山を始めたら、こんなにおもしろいことは他に見当たらなかった。何よりも、山の雄大さと、自分の小ささと、無能さを感じた。
 荒々しい自然のなかに身を置くと、なす術もなく、赤ん坊になったような心細さを感じるのだ。山岳の自然の懐に入るには、強い体力と精神力が必要とされる。
 ミャンマーで遺跡のなかをうろうろしていて、また、山に登ろうと思った。小さいピークでいいのだ。自分に見合った山に登ることは可能だろう。
 タイに戻り,授業の合間にヒマラヤの登山計画を立て準備を進めている。どうなるだろう、久々の高所登山だ。

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