How can I do?

 アナがチュンポーン先生担当の英語のクラスに呼ばれて、5分間だけ、フランス語、スペイン語、中国語、英語での挨拶の仕方を教えた。生徒たちはフランスからやってきたニューフェースに好奇心いっぱいで、アナには「ボンジュール!」とあいさつをするようになった。アナはとても嬉しそうだ。
 すると、翌日またチュンポーン先生がやってきて、アナに授業をしてくれるようにと頼んでいた。わたしも時間が空いていたので、アナの授業を見学することにした。
 ところが、アナがあいさつの授業を始めたら、彼は教室を出ていってしまった。なんの準備もないアナはびっくりしたらしい。しかし、長年のキャリアがあるので、慌てることもなくゲームなどを入れ無事に50分の授業を終えた。
 終えてから、驚いた顔でわたしを見て、「He has gone!  How can I do?」と言い、なんの準備もしていないのにいきなり授業を振られたことに驚き、呆れていた。
 実はこれがマイペンライのタイ式スタイルなのよ。わたしも、ゴティ先生から、当日の朝になって、いきなり電話で「今日、いませんよ〜」と何度授業を振られたことか。頭にきて「だから、なに?」と意地悪く訊いたこともあった。
 アナは「彼は何をしに行ったの?」と不思議がっていたが、なまくらなだけだよと思いながら、たぶん同業者には粗がよく見えるのだと思った。