シンプルライフ

簡素で快適な生活をしている。
机とベッド、洋服入れに黒のスーツが1着とブラウスとスカートが2、3枚だけ。毎日洗濯して同じような服装をしている。靴はなく踵付きのサンダルが2足。あとはランニング用の運動靴と帽子のみ。
山が中心の生活になったら洋服が重要ではなくなった。おしゃれは大事と思うし、すてきな着こなしをしている人にも目が止まるが、自分のこととなると無頓着で、体に馴染んだ木綿のシャツなど皮膚の一部のようで捨てられず、ここまで着るか?ってなくらい愛用している。ちょっと貧乏臭いかも。
まあ、基本的に体に気持ちのいいものを身につけたいと思っているだけなんだけれどね。
何の映画だったか、忘れられないシーンがある。イギリスの場末のパブで働いている女が男に誘われるが、男が着ているカシミアのセーターをちらりと見て誘いを断るシーンがあった。いいとこの坊々とは遊べないよ、って感じかな。見ただけで上等なカシミアとわかる女も相当なお嬢様だったんだろうね、と思ってしまった。
社会人学生の友人と大学の教授にジンギスカンをごちそうになったとき、同じことを思った。店ではコートが煙でいぶされるのでビニールのカバーに入れる。
そのとき「わたしがお入れしましょう」と手に取った時のコートの軽さとぬめるような手触りに「相当なもんだな」と思ってしまった。手触りで分かる暮らし振りとでもいいましょうか。
わたしの場合はいいとこ育ちではなく機織りをしていたので手触りで素材を判断する癖がついてしまった。中国の天山山脈の近く、シルクロードのパオに立ち寄ったとき、手編みのカシミアのセーターを買ってしまったことがある。素敵な手触りに手に取ったが最後、もとに戻す事ができなかったのだ。
作家の森茉莉さんもカシミアと上等の石けんが好きだった。上等のカシミアは気持ちがいいもんね。3月に帰国したら着てみよう。森茉莉さんのセーターのように穴だらけになっていたりして。虫がいちばん上物がわかる。
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