「蟻族」 高学歴ワーキングプアたちの群れ 廉思著

蟻は知能指数が高い。25万個の脳細胞を持ち、あらゆる昆虫の中で最も賢いのだという。集団を作る事でも知られている。この属性に似た状況が、中国の大都会の片隅で群れて暮らしている高学歴の若者に似ているという。彼らは望みを持ち都会の有名大学を卒業したにも関わらず、満足な職業に付くこともままならず、ベッド一つ200元で借りられる狭い部屋に寝起きし、挫折を繰り返しながら明日への望みを捨てない。この不撓不屈の精神も蟻に重なる。
日本でもワーキングプアが問題視されている。派遣切りに合った人たちが、セフティネットからもれ生活に困りネットカフェ難民化している状況にある。若者が就職できないのは世界的な問題であると思う。前期で一緒だったフィリピンの英語教師の同僚も国では仕事にありつけないと言っていたし、今一緒に働いているイギリス人のアデルとクーパーもイギリスで仕事を見つけるのが難しいと言っている。アデルは今年学生に戻るが、クーパーは仕事がないなら、1年間は働きながら旅をしようと思いタイに来たのだと言っていた。フィリピン人のジェイとレイはその後バンコクで働いている。
この二日間、「蟻族」と「ネットカフェ難民と貧困ニッポン」(水島宏明著)を読み真面目に考え込んでしまった。う〜ん、わたしだって長年臨時雇用体制で働いてきたし、厚生年金だって充分じゃない。いまタイで働いてなんとかなっているが、タイの給料を預金しても日本ではなんの足しにもなりゃしない。どうなるのかわからない先のない暮らし。またまた考えてしまった。
やれやれ、山友達が残してくれた本は真面目すぎて、漬物石のようにこころに重かったよ。まあ、極楽トンボにはいい薬になったかも。
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