盗難事件

外国語教師のオフィスで英語教師のジェイの財布が盗まれた。
金曜日の昼食後に生徒たちと映画を見ていた時、机の後ろの出窓に置いていた財布が紛失したそうだ。そこにいたのは、ジェイと中学一、二年生の生徒たちだけだ。
 ジェイがパソコン中毒になってから、良からぬ生徒が集まるようになり注意したばかりだった。うるさくて仕事ができないので、クラスのない日は家に戻って仕事をするようになった。インは中国語の教室で仕事をしている。その日も家で仕事をしていて、夕方コピーをとりに日本語教室に行ったら、ゴティ先生が「ジェイの給料の全部、12000バーツが盗まれた」と教えてくれた。今、教師たちがミーティングをしていると言う。
 ジェイから事情を聞いた。ジェイのミスだが学校側の対応が悪い。「警察に届けるべきだ、チュンポーン先生はなんと言っているのか」と聞いた。「デレクターが留守なので、月曜日に届ける」とのことだ。「なぜ、今日届けないのか」これは盗難事件だ、早い方が解決に繋がる。それも学校で起こった事件だ。
 インと夕食に行くと、すでに盗難事件はみんなに広まっていた。タイの教師たちは外国人の教師が盗んだのだろう、とうわさしていると言った。インは、「これは私たちのオフィスで起こった事件だから、彼を助けなければならないし、嫌疑をかけられるなんてもってのほかだ」と憤慨した。「警察に行くのが先決だ」と言う事になり、ジェイの部屋に行った。チュンポーン先生に電話すると、相変わらず同じ事を繰り返している。インがものすごく腹を立て、ジェイから電話を取り上げタイ語でまくしたてた。
 その後の行動がすごい。インは「学校へ行こう」と言った。オフィスに行って、財布が私たちの引き出しに入れられていないかチェックするという。学校でブラスバンドの練習している生徒に証人になってもらい、全部の引き出しを開けて入れられていないことを確認した。インの剣幕に驚いたチュンポーン先生がやって来て、「これから、警察に行こう」と言ってくれた。
 同じ通りにある警察に出かけると、ガンガンとカラオケがかかり宴もたけなわだった。お酒を飲み、歌い、ダンスをしている。「えっ、ここは警察でしょう?」ヘアサロンのおねえさんもいる。
いっぱい機嫌の警察官もインの剣幕にたじろいだのか、ていねいに調書を取っている。インのタイ語もたいしたものだ。半泣きでしどろもどろしているジェイをサポートして調書作成は終わった。一段落したときはすでに9時半をまわっていた。ヘアサロンのおねえさんがやって来て、またポーイフレンドの話をするので「フィリピンの彼はどう、二人とも独身よ」と言ったら、笑っていた。
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