アラスカ滞在

2008年夏、2ヶ月間アラスカのヘインズに滞在した。
そう、夢は叶うものだ。森の中のログハウスに住みたいと憧れていたら、ジョンの友人、ミッシェルが森の中にあるゴージャスなログハウスを無料で貸してくれた。
ご近所では珍しいシャワーと水洗トイレ付きでキッチン用具と調味料がすべてそろっていた。ログハウスは三階に四面ガラス張りのベットルームがあり、梢の上に止まったイーグルの気分を味わう事が出来た。
しかし、ワイルドライフに憧れていたとはいえ、雨で家に閉じ込められる日が続くと、一人暮らしは心細かった。嵐の夜は天空を覆う杉の大木から、松ぽっくりが氷塊のようにガンガン音を立てて降ってきた。夜、窓の外には黒々とした闇が広がり、熊やムースがのぞいているんじゃないかと恐ろしかった。
あちこちの友人に夕食に招かれたが、その時間が楽しければ楽しいほど真っ暗な森を歩いて帰るのが恐ろしく、そして寂しくなった。人と交わることや、思いやることの大切さを嫌というほど感じ、こんなところで私はいったい何をしているんだろうと思った。
アラスカから戻り、しばらくは無性にお天道様が恋しかった。けれども、ラジオを聴きながら本を読んだり、料理をしたり、ニッティング・ディやコーラスに参加してゆったりと過ごした時間はとても貴重に思える。