海と山

旅は移動する線であり、地球の上に横に引かれる。
生命の延長線は自分が生きた軌跡であり時間の流れを物語る。
たとえば、わたしが誕生し、この地球に存在する点としての生から死へ向かって時間は流れてゆく。その線上に刻まれる縦の線が自分の思考だとしよう。何かへの憧れや目的意識は時間の流れに対して縦に刻まれ垂直に伸びてゆく。
山への憧れが縦に刻まれたひとつの線だとしたら、いつその線が刻まれ込まれたのだろう。なぜエベレストに登ることになったのだろう。水平線を見て育ち散漫な横型志向だったわたしが、山のように高みへと向かう縦型志向に変ったのが不思議な気がする。