惑いの60代 


 40代後半から山に入れ込み、このままでは仕事を首になるかもしれないと、交通事故の慰謝料を自主年金に入れた。
まあ、65歳くらいまでは元気だろうと思って、65歳までの10年間の受け取りだった。
ところが、65歳を過ぎてもまだ元気なのだ。お金は大学の授業料や山に使ってしまったし、さてこれからどうしようかと思案中。


 このまま、タイにいれば食いっぱぐれることはないんだけど、人生の残りの時間があと10年だとしたら、日本語教師を続けるだろうか? 6年目にして、なんとか授業ができるようになったが、これからの元気な10年間を他のことに費やすのもいいかもしれないと思うようになった。


 2004年春、エベレストの頂上で、このまま高所登山を続けていたら、ここに放置された遺体のようになるのだと確信した。もし、生きて帰ったら他のことをしようと考え、大学に入学したように、今また新たな道を探しあぐねている。



写真はエベレストの高所順応登山(▲ナヤカンガ 6200m)で 故 河野千鶴子さんと。