餅つき

 ひと昔まえ、それぞれの家庭で餅つきの日が決まっていた。
我が家の餅つきは28日で、夜中の2時頃から勢いよく燃えるマキの匂いと、蒸しあがったもち米の匂いが立ち込めた。


 もちろん、杵と臼で餅をつく。父が餅をつき祖母があい取りをした。母は大きなテープルにでんぷんを広げ、みんなで餅を丸めた。できたお餅は重箱に入れて親戚に届ける。夜が明けたばかりのピンと張り詰めた冷たい空気に重箱の中の小銭がカランカランと音を立てた。

 ーーーお正月まえの懐かしい行事でしたね。