映画「灼熱の魂」

 帰国して出かけるのは本屋と映画館。本屋をうろつき、「灼熱の魂」を観た。
中東の血塗られた民族や宗教間の闘争に翻弄された女性をミスティリアスな物語に仕上げた映画。中東系カナダ人の初老の女性、1949年生まれのヒロインが2通の双子の子供に遺言状を残して逝く。二人の子供は母親の過去を探して中東に赴く。カメラは過去を縦軸に現在をタペストリーのように織り込んで行く。
 現在も続く中東の紛争に、映画と現実とを錯覚してしまう。どちらも現実のような気がして恐ろしくなる。


 それにしても、彼女を意固地なまでに強くさせたものはなんなのだろう、と思う。人は死んでもそこで終わらない。その人が生きた歴史とともに物語は生きて行くのだ。帰国したそうそうに観る映画としては重かった。