Haruki Murakami

 村上春樹の「雑文集」1979-2010の未発表の文章を読む。
数年前、大学の図書館で手に取った「走ることについて語るときに僕の語ること」は、なぜかするりと心に入って来て共感を得た。珍しく、話題の「1Q84」も読んでおもしろかった。この人ってどんなふうにストーリーを考えるんだろう、と興味をもち手に取ったのが「雑文集」だった。飛行機の中で読むには丁度いいかもしれない、そう思い、ちょっと重かったけどパソコンと一緒にケースに入れた。
 和田誠安西水丸の挿絵がユーモラスでおもしろい。
安西水丸が本を出したとき、題名を考えてよ、と頼んだら「じゃあ、青豆とうふ」と言ったとか。丁度、そのとき「青豆とうふ」を食べていたところだったそう。その後、ベストセラーのヒロインの名前になっちゃったんだから、すごいね。青豆と天吾なんて「ジャックと豆の木」を連想させる。仮想の楽園のアダムとイブってとこかな。そのうち、仮想と現実が交差してわからなくなる。
 「雑文集」は、ジャズについての考察がいい。なぜか音楽が聞きたくなる。この本だけは残しておこう、と思った。疲れたときに軽い本を拾い読みするみたいに、ジャズを拾い聴きしたいと思う。素敵なジャズとの出会いに導いてくれるかも。